カロンデレットの聖ヨセフの姉妹達は、1997年より環境維持に重点を置き、小さな実行から大きな決断を含め様々なことに取り組んできました。環境に関する教育を行い、資源を大切にするよう奨励し、大量消費を削減し、建物や土地をより環境に優しく活用する工夫をし、どれもポジティブな成果をもたらし、修道会全体が環境的回心とベストプラクティスを実践してきた内容をお互いに分かち合い、励まし合っています。
このレポートでは私たちの修道会の環境維持への取り組み、道のりと成し遂げてきた大きな成果紹介いたします。レスポンスの大半はそれぞれのローカルなレベルからきたものです。私たちは複数の地域に渡って活動する修道会のため、実践内容によっては地域や文化を超えた活動は場合によっては効率的でないこともあり、建物等によっては実用的でないケースもあります。とはいえ、この報告書は皆さんを「より深く、より遠く、勇敢に、創造性を持って」(2019年総会)努力し続ける励みとなることを期待しています。更に、これまでみんなで力を合わせて成し遂げてきた多くの改善のお陰で、段々と持続可能な地球に近づいていっていることは確かであり、それは誇りに思っていただきたいと思います。
教育
CSJコミュニティーは環境維持の意識を高めるためにあらゆる教育活動に積極的に取り組んでいます。
地球コミュニティの交流のコミッティー)は、2007年の総会の後、水、食べ物、そしてラウダート・シなど、環境的・生態学的な変換についてコミュニティーに情報提供ができるようモジュールを造りました。
2012年には、カロンデレットの聖ヨセフの姉妹達とCSJのアソシエーツからなるWisdom Circleで「Deepening Communion with Creation(被造物との交わりを深めるには)」というブックレットを出版しました。挿し絵、詩、文章などを取り入れ、読者に環境のことを伝え、自然界を理解し考えることを促す内容です。
アルバニー管区は、プロビンス・ハウスでのベストプラクティスの実践には、公正取引によって仕入れたコーヒーを購入したり、土地管理の改善などに取り組みました。シスター達の環境に対する意識を高めるために、地元の農場で採れた作物が食材に使われた場合は、そのことをアナウンスするようにしています。環境に関しての教育にも取り組み、GMO(遺伝子組み換え生物)の含まれた食品を購入しないよう促しています。Home/Land Committee (家・土地のコミッティー)は、修道会の会議に参加するための出張は、カーボンオフセットを購入することを奨励し、その為の予算も立てています。
セントポール管区では、環境維持計画を開発しました。「Celeste’s Dream」グループはセントポール管区でのコミュニティーの環境維持計画に大きな役割を果たしています。このグループは15年間に渡って廃棄物フリーのイベントを主催してきました。このグループはカロンデレット・センターと提携し、環境を意識して活動しているケータリング会社に依頼し、この会社に会議の食事を全部手配してもらいました。
「Earth Partners(地球のパートナー)」というセントポール管区のボランティアグループは、教育、唱道などを通して環境維持に対する意識を高め、環境維持の取り組みを奨励しています。管区内のニュースレターを活用し、コラボレーションや組織改善に焦点を置いています。更に、Earth Partnersは、環境維持の知識を深めるため、四旬節(レント)の生態学的祈りの実践プログラムを案出し、その祈りの実践を管区ウエッブサイトを通して一般の人々にも提供しました。
広範囲に渡る教育の取り組みの甲斐があり、セントポールでは堆肥作りやリサイクルに対する意識が高まりました。CSJコミュニティーは地元のカウンティ―(群)と提携し、敷地内の住民のために廃棄物管理の改善のための補助金や教育が提供されています。廃棄物汚染を避けるためには何がリサイクル可能か、そして何を堆肥に変えることができるかについての教育なども含まれます。
ロサンゼルス管区は2019年にカロンデレット・センターのために「地球にやさしい環境維持計画」を立てました。コロナのため、計画を実行に移すのは多少遅れましたが、ストップはしていません。このプランには、個別に包装された食品類を避け、牛肉料理を減らし、キャンディやスナックの包み袋を捨てるためのTerracycle Box(写真)用意し、エアコンの使う頻度を減らすために窓を開けたりブラックアウト・カーテンを取り付ける、などの実践項目が含まれています。
ロサンゼルス管区は常時シスター達やアソシエーツに取り組んでもらえる環境維持のベストプラクティスの情報を提供しています。この情報には室内を涼しくする、使い捨てプラスチック商品を避ける、リサイクルをするなどの実用的な実践なども含まれています。様々な場所で受け付けてくれる電気製品や電池などリサイクル可能なアイテムのリストを提供し、リサイクルすることを奨励しています。ロサンゼルス管区はのマネージメント・チームは環境維持の取り組みについては管区の職員とも協力し合うことにも重点を置いています。
昨年、日本のシスター達は全ての被造物に対する神の意志をより深く理解するために、聖イグナチオの500周年を記念する週間プログラムに参加しました。このプログラムを通して、この混沌とした世の中においても、自然がいかにして理想の形に戻ろうとしているか、元のリズムを取り戻そうと頑張っているかということを、シスター達は共にに考え、振り返ることができました。2021年6月には聖ヨセフ女子学園高校(写真)では、国連の「持続可能な開発目標」に取り組み、特に海に放出されるプラスチック廃棄物について力を入れました。
責任を持った資源の活用と大量消費について
聖ヨセフの姉妹達は気候変動と環境維持に対応するために、シンプルなライフスタイルと責任を持った消費方法を取り入れています。
日本のシスター達は、食べ物、衣服、住居などに関する資源をクリエイティブに、持続可能に活用できるように工夫しています。例えば、普通だったら処分されるような衣服でも、捨てずに、アップサイクルして販売する、プラスチックの袋を使わずに箱や再利用可能なバッグを使う、毎日の食事の準備においては、無駄を少なくするために食べ残しのものを菜園に埋めたり、野菜類は皮をむかずにそのまま皮ごとで料理をしたりしています。日本では広範囲には渡るリサイクルプログラムがあり、シスターたちはこのプログラムにも参加しています。
アルバニーのプロビンス・ハウスでは、20年も公正取引で仕入れたコーヒーを購入してきました。更に、この管区のフードサービスの会社は食糧廃棄物を減らすために30-40ポンドもの余分な食料品を地元の避難所等に寄付しています。そして、季節ものが取れる時期は地元の野菜や果物を買うようにしています。
アルバニー管区のプロビンス・ハウス全体では環境に優しい「グリーン」のクリーニング用品(洗剤類)を使っています。環境教育のに力を入れ、その取り組みの甲斐があり、地元のコミュニティーは皆、プラスチックボトル入りの洗濯洗剤の使用をやめ、代わりに環境に優しい「グリーン」のランドリー・シートを使用しています。どうしても使い捨ての食器類等が必要な場合は、フードサービス会社は堆肥可能な食器、コップ類、フォークやスプーンなどを使用します。更に、堆肥化可能な食器類は特別な工業の堆肥化の工程があることも認識しています。アルバニーのシスター達は地元でリサイクルできないペンやスナックのパッケージ等の使い捨てプラスチック類をリサイクルするにはTerracycleボックスを活用しています。管区のHome/Land(家と土地)コミッティーの取り組みのお陰で、プロビンス・ハウスでは発泡スチロールものはまったく使用しなくなり、今後においても使い捨てプラスチックの使用を減らしていく決意です。
アルバニーの財務事務所も紙の節約に大きく取り組んできました。可能な限り支払いは紙の小切手を使わず送金をしたり、投資報告書、最高財務責任者の報告書、監査報告書等のような大きなレポートはプリントせずにオンラインでアクセスできるように切り替えました。シスター達も地元のコミュニティーの財務報告書やクレジットカードの請求書などはプリントしたレポートではなく、オンラインで入手するよう奨励されています。
ロサンゼルスのカロンデレット・センターでは無毒の生物分解性のある洗剤類やデグリーサー(脱脂剤)を使用し、ペーパータオルなどの紙の無駄使いを減らすためにも、再利用できるミクロ繊維のタオルを使用しています。
ロサンゼルス市議会が2020年8月25日にロサンゼルス市が「Fair-Trade City(公正取引に取り組む市)」となることが議決され、ロサンゼルス市が北アメリカでは一番大きな「Fair-Trade City」となりました。その際に聖ヨセフの姉妹達は公正取引商品を使用するコミュニティー組織のトップ100の一つに選ばれました。
セントルイス管区のプロビンス・ハウスでは、数名の有志の積極的な努力のお陰で、他のメンバーたちをも励ましてきたお陰で、ネイティブの植物を植え、受粉媒介者を増やし、堆肥を作り、リサイクルをし、使い捨てプラスチックの使用を減らすことに成功しました。台所では、メニューの工夫をし、パッケージされた加工食品を極力避け、地元で取れた材料を使った手作りの食事を作るようにしています。こうすることにより、キッチンスタッフも食品廃棄物を減らし、食材をより上手に再利用できるようになりました。
セントポール管区のプロビンス・キャンパスでは業務用の生ごみ処理機を導入しました。この大きな取り組みにはシスター達やスタッフ全員が大掛かりな訓練を受ける必要がありました。何を購入するにしても、処分する際には堆肥化できるかどうかを考慮に入れることが大切です。カロンデレット・ビレッジの居住者一人一人に堆肥用のバケツが配られ、それを使って生ごみを業務用の生ごみ処理機に入れてもらっています。
環境を考慮に入れた建物や土地の活用法
ここ20年に渡り、カロンデレットの聖ヨセフの姉妹達は環境維持に取り組むために主要な建物や土地において著しい改善をしてきました。
建物
セントルイス管区のプロビンス・ハウスでは、省エネに取り組むために建物の改装をしました。412もの窓を取り換え、建物の外側のレンガをタックポイント(襞目地拵)し、冷却装置やセントラル・ボイラーを取り換えたりしました。この改装のお陰でかなりのエネルギーを節約することができ、電気代だけでも6%節約することができました。もう一つ省エネに役立った改装は、自動式LEDのライトシステムの導入です。これは居住者の安全にもつながっています。更に居住者は余分な熱が部屋に入り込まないようにブラインドを閉めるよう促されています。水の節約にも取り組んでいます。セントポール管区はEnergy Star Portfolio Managerという全国的な指標を使い、これまで行ってきた改装等が他の類似した建物と比較することができます。
セントポール管区はキャンパス内で、3軒の建物を所有しています:行政・管理センター、カロンデレット・センター、そしてプロビンス・ハウス。1990年代にエネルギーの効率の良い冷暖房システムに改装し、窓やレンガのタックポイント(襞目地拵)等の改装もしました。更に建物の管理が行き届いており、それも環境維持に役立っています。2016年から、電力はすべて地元の電力会社を通して再生可能エネルギーを受給しています。
セントポール管区は再生可能エネルギーを導入するためにはプレミアムを払う覚悟もできています。それだけ、地球温暖化対策に真剣に取り組んでいます。可変周波数ドライブも導入し、これはエネルギーの節約にも非常に役立っています。更に、管区のビルディングを利用する人たちがより環境の持続可能な選択ができるように、ウオーターボトルの補充ステーションを設けたり、電気はモーションセンサーを取り付けたり、「スマート」な電気の差し込みを導入したりしました。
次の3年計画には、建物内のライトをできる限りLEDのライトシステムに切り替えること、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機をすべてエネルギースターのものに切り替えること、二つの蒸気ボイラーを高効率なボイラーと取り換えること、エネルギー消費をモニターできるよう可能な限り各ビルディングにサブメーター(子メーター)を取り付けること、各ビルディングに太陽電池アレイエネルギー貯蔵システムを導入することを検討する、再生可能な天然ガスのオプションを検討する、などが含まれています。
アルバニー管区のプロビンス・ハウスは2019年に地元のソーラーファームに投資をしました。このソーラーファームは2020年10月に接続され、今ではアルバニー管区はこの形の電力を活用することにより、相当なソーラー・クレジットを受け取っています。
ロサンゼルス管区のカロンデレット・センターは電気を全てLEDに切り替えました。建物の一部には電気のモーションセンサーも備え付けました。太陽熱温水システムは何年も前に導入しています。ビルディング内にはリサイクル用の箱があらゆる所に設置されています。ごみ収集の会社は、管区の生ごみや庭から出たゴミ(落ち葉や枝等)をリサイクルでき、より広範囲な容器類をリサイクルできる会社に切り替えました。
土地
アルバニー管区は、オオカバマダラ(蝶)が好むトウワタ(糖綿)を植えるなどして生き物が出入りしやすいスペースを設けています。蝶、蛾、鳥などの生き物に取って住みやすい環境を保つため、敷地内の草地は年に2度しか刈らないようにしています。更に建物内や敷地内ではオーガニックの害虫防除の方法を取り入れています。
セントポール管区は、コミュニティー・ガーデンのスペースを設け(写真)、このガーデンを活用し地元のフード・システムに参加したり、受粉媒介者のサポートをしたり、作物を周りとシェアすることによりコミュニティー意識を高めたり、オーガニックの栽培方法を学んだりしています。高齢のシスター達やカロンデレット・ビレージの居住者たちもアクセスしやすいようにガーデンの一部は手の届く高めの位置に設置しています。
庭や植物の手入れをするというのはスピリチュアル(霊的)な修業にもなり、被造物を大切にすることを通して全ての生き物と人間との相互依存の理解を深め、公益にも貢献することに繋がります。コミュニティー意識を高め、お互いから学び合うということを第一目的としながら、コミュニティーの「園芸家」たちは毎晩時間を決めて一緒に力を合わせて作業をし、毎年の収穫期には約1,000ポンドの作物を収穫します。この収穫した作物は、コミュニティーの園芸家たちの間で分けたり、聖ヨセフの姉妹達が創立した地元の大学の学生たちもに寄付します。
セントポール管区では「オーガニックの肥料と雑草管理」にはハイブリッドのプログラムを取り入れています。聖キャサリン大学の生物学科がとても効率の良いな芝生のプログラムを開発しました。これは受粉媒介者、ペットや人間にも安全で、広葉樹除草剤を最小限にとどめたものです。更に、このプログラムはOrganic Materials Review Institute (OMRI)(有機材料調査協会)が、有機食品の調査基準と同じ基準で調査された材料を使用しています。
セントルイス管区では敷地内全体にあった観賞植物や灌木類は、ネイティブの植物と取り換えられました。このネイティブの植物は蜂やオオカバマダラなどの受粉媒介者を引き寄せる効果もあります。数年前にシスター達は受粉媒介者を誘うのが目的で行われた近所のコミュニティー・ガーデンの庭園造りにも参加しました。
結論
カロンデレットの聖ヨセフの姉妹達は被造物とより深く交わり、地球危機の緊急性を認識し、自身のライフスタイルをシンプル化し、他の組織団体と協力し合い、地球を癒すための努力をしています。このレポートは全ての取り組みを記載するのが目的ではなく、それぞれが取り組んできて成功した例の一部を報告し、環境のためのベストプラクティスについてお互いに学び合い、今後共地球の危機に対応し続けていただきたいと思います。
環境的回心の道のりはさらに深く、より遠くへと進んでいくことができます。勇敢さ、創造性、そしてコラボレーションが私たちの将来の実践の証となることでしょう。